ISO9001やIATF16949では、内部監査を1年に1回行うように決められてます。
面倒ですが、内部監査の結果はISO9001やIATF16949の審査で確認されるので、やってないと審査に通りません。
でも、はじめての人だと
内部監査って何するの?
そんな素朴な疑問があると思います。僕も実際に仕事で関わるまで知りませんでした(^^;
内部監査は、文字通り自分の会社を自分で監査すること。外部の審査機関で不具合が見つかる前に、「自分で自分の悪いところは直しましょう!」っていう考え方です。
品質管理意外にも内部監査は色々ありますが、ISO/IATFの内部監査ではプロセスが有効に機能しているか?にフォーカスをあてます。
自分の会社を監査できるスキルを持った人ですが、誰でもなれる訳じゃありません。
監査するための教育を受け、試験に合格して資格(認定)を取る必要があります。
内部監査員には、いくつかの知識が必要です。
- IATF16949の要求事項を理解していること
- コアツールを理解していること
- プロセスアプローチを理解していること
めっちゃ、難しそう・・
確かに・・・これだけ見ると簡単に内部監査員になれない気がします。
もちろん完璧にマスターしている人は、IATFの認定監査員にもなれますが、会社の中にこのレベルの人は数名じゃないでしょうか。
もしかすると居ないかも知れません。それほど、全てを理解するのは難しいです。でも、内部監査は1年に1回はやらないといけない。。。
ただ、これは悪いことではありません。
スキルは経験で蓄積されます。最初はみんな初心者ですので、勉強と回数を繰り返していけば、おのずとスキルは上がっていきます。
経験が浅くても、会社の中でIATFの要求事項を理解している人を少しでも増やすことが、結果的にメリットがあります。
この記事では、経験が浅い内部監査員の人に、内部監査の具体的なやり方を解説します。
- 内部監査員になったばかりの人
- これから内部監査員の教育を受ける人
- 始めて主任監査員になった人
内部監査って何?
IATFの内部監査には3つの種類があります。
- 品質マネジメント(QMS)監査
- 製造工程監査
- 製品監査
それぞれのポイントを説明します。
- QMS監査
-
「それぞれのプロセスが、きちんと機能しているか?」を確認します。会社にある全てのプロセスを1つ1つ監査しないといけません。
- 製造工程監査
-
「モノ作りをしている現場が、きちんと作業できているか?」を確認します。
「指示されたコントロールプラン通りにできているか?」がポイントです。
- 製品監査
-
お客様と取り交わし(契約)した製品(商品)とお客様に納品する製品(商品)が間違っていないかを確認します。
実際の寸法を測定したり、見た目(包装形態や記号・マーク)の照合などを行います。
経験の浅い人が担当することはないと思いますので、この記事では省略してますm(_ _)m
3つの監査は監査する方法が違うため、監査員の資格もそれぞれあります。念のため、自分がどの監査の資格を持っているかを確認しましょう。
QMS監査の方法
QMS監査は、各プロセスごとに監査をします。プロセスの数と種類は会社によって違いますが、一般的には下のようなプロセスです。
図の中に内部監査のプロセスもあります。IATF16949の審査では、この内部監査プロセスで、これまでの内部監査結果が確認される仕組みになってます。
プロセスはいっぱいありますが、監査する方法は大きく変わりません。
QMS監査で確認するポイントは、次の3つです。
- 審査するプロセスが、IATFのどの要求事項をカバーしているか?
- 審査するプロセスと、他のプロセスにつながりはあるか?
- 審査するプロセスは、有効に機能しているか?
それぞれ具体的な方法を解説していきます。
IATFのどの要求事項をカバーしているか?
プロセスごとに確認するIATFの要求事項は違ってきます。会社の中で、プロセスと要求事項を一覧表にしたものがあるはずですので、まずは一覧表を確認します。
ただ、経験が浅いと要求番号を見ても、何を審査すれば良いか分かりませんので、そこまで気にしなくてOKです。そんな責任を明確にした表があることを知っておきます。
IATFの要求事項になにが書かれているかはマニュアル本がないとわかりません。高価なものですので、会社の経費で買ってもらいましょう。
会社のための審査なので買ってくれるはず。
他のプロセスとつながりはあるか?
プロセスとプロセスの関係を表す相関図というものがあると思います。その相関図を見て、審査するプロセスが、他のプロセスと関係があるか確認します。
- 審査するプロセスに、どのプロセスが、何をインプットしているか?
- 審査するプロセスが、他のプロセスに、何をアウトプットしているか?
このあと説明するタートル図で、相関図と実際の業務にズレがないかの前準備です。
プロセスは有効に機能しているか?
プロセスが有効に機能しているか?は、タートル図をベースに確認を進めます。タートル図は事前にもらっておいて、プロセスの全体像をイメージしておくと、監査がスムーズに進みます。
タートル図で確認するポイントは次の内容です。
プロセスのインプットが何か?
インプットには、顧客の要求や会社トップの目標などが書かれてます。各プロセスは、インプットを受けて、仕事をして、アウトプットする仕組みなので、最初のインプットは大切なポイントです。
プロセスの指標は何か?
プロセスが有効に機能しているかを判断する目安が「指標」です。プロセスが活動した結果が指標に表れるので、指標の目標に対して、実績がどうだったのかを確認します。
目標に大きく及ばなければ、有効に機能していない可能性があると判断します。なぜ、目標に到達しなかったのかを質問して、原因と今後の対応方針を確認します。
インプットが指標に反映されているかも確認する大切なポイントです。
例えば、会社トップの方針・目標を業務に落とし込めているかも確認します。
力量を確認する
力量(スキル)は、実際のIATF審査でも必ず確認される項目なので、内部監査でも確認します。
力量が大切な理由は、能力がない人が仕事をすると当然失敗します。それを防止するためです。
力量の評価方法は、その会社によって様々です。ここではプロセスのメンバーをサンプリング2~3名程度、スキルを持っていることが証明できるものを確認します。
効率的なやり方は、組織表を見せてもらって、業務と役割を説明してもらう方法です。グループの組織表には、メンバーが記載されてますので、こちらから指名して、力量の評価結果を見せてもらいましょう。
タートル図の詳しい解説記事はこちら
その他(過去の指摘事項を確認)
過去のISO9001やIATF16949の審査結果を見ておくと参考になります。(当然ですが^^;)
もし、自分が監査するプロセスに指摘や要望事項(改善の機会)があれば、それとまったく同じことを確認します。これは、是正の検証や確認と呼ばれます。
ここまでを確認していれば、おおよそプロセスが有効に機能しているかは分かります。
- プロセスの責任範囲を把握する。
- プロセスとプロセスの関係を把握する。
- プロセスへのインプットを見る。
- プロセスの成果(指標)を見る。
- プロセスに携わる人の力量を見る。
- 過去の監査結果を再確認する。
製造工程監査の方法
製造工程監査は、モノ作りをしている現場が対象です。製造工程監査で確認するポイントは3つ。
- コントロールプラン通りに作業が行われているか?
- 現場の5S状態は良好か?
- 作業の引継ぎは、きちんとできているか?
それぞれ説明していきます。
コントロールプラン通りに現場作業が行われているか?
代表のコントロールプランを見て、現場が記載されている通りの作業を行っているかを確認します。
コントロールプランには、管理する項目、方法、ツールが書かれてます。その内容は文書になっていますので、その文書と実際の作業を見比べます。
コントロールプランと実際の作業が違うと、不適合になってしまいます。その理由は、不具合が発生する可能性が高くなるからです。
コントロールプランは、FMEAでリスク分析された内容が反映されています。その内容が守られていないと、リスクが高くなると判断されます。
コントロールプランの詳しい解説記事はこちら
現場の5S状態は良好か?
5Sは現場の基本ですが、整理・整頓ができていないと、材料を間違ったり、製品を落としたり、色々なトラブルの原因になる可能性があります。
現場が乱雑になっていないかを確認しましょう。IATFの要求事項の番号でいうと、7.1.4.1【プロセスの運用に関する環境】に該当します。
現場5Sの詳しい解説記事はこちら
引継ぎは、きちんとできているか?
交代制で作業を行っている場合、同じ作業でも人が交代することがあります。昼勤務から夜勤務へのシフト交代のようなものです。
正しく作業の引継ぎができていないと、後から作業する人が間違って、トラブルが発生することはよくあります。
IATFの審査では引継ぎにリスクがあると考えられているため、製造工程監査では、必ずシフトの引継ぎを審査する必要があります。
- コントロールプランと現場作業を確認する。
- 現場の5Sを確認する。
- シフトの引継ぎを確認する。
内部監査の知識を深める方法
内部監査の知識を深める1番の方法は、経験を積むことです。ただ、経験は時間をかけないと身につきません。
そんなときに役立つものが、他の会社の実例を参考にすることです。
マネジメントシステムの専門月刊誌アイソスが発行した「内部監査事例集」に目を通すことで、大手企業の実施例を知ることができます。
もちろん参考にならない部分もありますが、見ておいて損はありません。
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これから内部監査をされる方の参考になれば嬉しいです。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。<(_ _)>