製造現場には無数のチェックシートがあります。1つ作業するとチェック、1つ点検をするとチェック、1つ検査をするとチェック・・・キリがありません。
チェックシートって、書くのが大変だなぁ
チェックシートは、QC7つ道具の1つで、品質管理のツールとして大切。でも現場の人は、毎日、何十、何百とチェックしてシートに記入してます。
そのチェックした内容は、本当に正しくチェックされて、正しく記録できているのでしょうか?
答えは「No」です。
人は、毎日同じことを繰り返してると簡素化(効率化)していきます。同じチェックシートを毎日書いていると、何も考えずに書くだけの作業になっていきます。
じゃあ、どうすればいいの?
この記事では、記入ミスの多いチェックシートに悩んでいる人に解決方法を紹介します。
QC7つ道具の詳しい内容は、こちらの記事でも解説してます。
- 製造現場の管理をしている人
- チェックシートの記入漏れで悩んでいる人
- チェックシートって意味ない!って思っている人
現場のチェックシートって必要?
そもそもチェックシートって、必要なの?
答えは、「Yes(必要)」です。
チェックシートが必要というよりは、記録が必要。ISO9001や顧客の監査では、品質を確認した記録を提示する必要があります。
いくら「点検しました!」「検査しました!」といっても、記録がなければ実施したと思ってもらえません。このため現場には無数のチェックシートが存在します。
点検・検査したら記録が必要ということは、1つ点検したら、その結果をチェックシートに記入する。ごく普通の作業です。
でも、ここには作業者が記入する負荷、記入の漏れ・ミスが考えられていません。作業者は、きちんと書くもの!という性善説で成り立っています。
これが落とし穴。作業者は、ミスをするものという前提に立つ必要があります。(性悪説)
勘違いするといけないのは、作業者はミスをしたくてする訳ではない!という事です。
人として、当たり前の作業をしていると、ついつい間違ってしまうのです。ポカミスと呼ばれることもあります。
チェックシートの改善
少し具体的なチェックシートを考えてみます。
1ヶ月を1枚にした装置のチェックシートです。
このチェックシートで3日を記入しようとしたとき、作業者はこう考えます。
昨日確認したから、今日も同じで大丈夫だろう
1日でそんなに変わらないから同じ数字でもいいよね!
そうすると装置の点検をせずに、チェックシートだけ記入します。これが続くと装置故障が分からなくて、事故が発生します。
これを予防するには、どうすればいいの?
まずチェックシートを1回の点検シートに変えます。
チェックシートに簡単な点検の方法を追加します。点検の方法が書かれていると、そのまま記入すると罪悪感が働きます。
数字の書く場所は実際のメーターを見ないと記入できません。昨日の数字を思い出して書くよりも、圧力計を見て書いたほうが早い。人は楽な方に傾きます。
100%防止できる保証はありませんが、効果は期待できます^^
チェックシートの電子化は必須
多くの会社で電子化の動きは進んでいると思いますが、電子化は本当におすすめです。
膨大な紙を使うこともありませんし、過去の記録も容易に見れます。作業者の入力漏れや検証者の押印忘れも防止できます。
僕の会社でもチェックシートを印刷する作業、チェックシートを回収・保管する作業、チェックシートが間違っていないか確認する作業(検証)が全て不要になりました。
ペーパーレス化のシステムを販売している会社は結構ありますので、「チェックシート 電子化」などで検索してみて下さい。
ダブルチェックは無意味!
少し余談になりますが、「ダブルチェック」は現場にありますか?
1人がチェックした後に、別の人がチェックする作業です。検査漏れやお客様のクレーム対策で昔はよく聞く対策でした。
1人が見逃しても、もう1人が見付けてくれる!という発想ですが、ダブルチェックには流出を防止する効果はありません。
2人の心理状態はこうです。
- Aさん:「Bさんがチェックしてるから問題ないよね^^」
- Bさん:「Aさんがチェックしたから大丈夫だろう^^」
結局、2人ともチェックしない現象が起こります。長くダブルチェックをしているとパートナーはだいたい決まってきます。
お互い信頼してる仲間ですので、どうしてもチェックする相手を信じてしまいます。
IATF16949のコアツール・FMEAでも、人が何回検査しても流出リスクは減らない定義になっています。
国際規格がダブルチェックは意味がないと定義してますので、廃止しても大丈夫です。これだけで作業負荷を大幅に削減できます。
FMEAは別の記事で詳しく解説してます。
まとめ:チェックシートは電子化しよう
- 現場で使ってるチェックシートは、電子化を考えます。
- 毎日のチェックシート記入は、記入ミスや間違いを誘発させます。
- 電子化することで、大きなコスト削減も狙えます。
- もしダブルチェックをしている作業があれば、さっそく止めてしまいましょう^^
本記事は以上となります。
最後までお付き合い、ありがとうございました^^